「時間が守れない」の解決に必要なこと
「時間が守れない」ことも、能力や性格の問題ではなく、「やり方」「仕組み」の問題として解決できます。
しかし、「時間が守れないという悩みを抱えている人」から「時間を守る人」になろうと言うなら、「気合い」が必要です。
「気合い」などというと精神論なんですけど、でもこれは仕方のないことなんです。
なぜかというと、「時間が守れない」ことが起こる理由には「ほとんど無意識的な考え方や傾向」という心理学的な問題が深く関わっていて、それを変えていくにはかなり意識的な努力を続ける必要があるからです。
「時間が守れない」という悩みを持っている人のほとんどは、それによって生じる損失や損害を知り、自分や他人への悪影響に気付き、繰り返し落ち込み、「まずい」ということはわかっています。
だけど、心のどこか奥の方では、「このままでもいい」「周囲のだいたいの人は許してくれている」「大きな問題にもなっていない」「大丈夫なうちは必死になるようなことでもない」というような思いが無意識にあるので、1日2日気をつけてみたとしても、長続きしないことが多いのです。
「そんなダメ人間みたいに言われるのは心外だ」と思う人もいるでしょうけど、これは一部の人に当てはまる残念な特徴なんかではありません。
特別なものではなく、「心の負荷を軽減する人間の無意識的な働き」として誰しもが持っていること、心理学で「防衛機制」と呼ばれるものです。
そして、その力はすごく強くて、かつ無意識なので、対抗するにはかなり意識的な努力が必要になる、ということなんです。
というわけで、解決するには「やり方」「仕組み」の改善にプラスして、「気合い」が必要です。
ところで、「時間が守れない」ことがごくたまになら、落ち込むことはあっても、気合を入れて解決したいようなことではないと思います。
問題は、これが頻繁に起こるか、常態化しているか、という場合ですよね。
この場合は、その人の習慣的な行動パターンや行動選択の癖、またはその人が「ふつう」だと思っている「やり方」や「仕組み」の基本設計が、遅れが生じてしまう作りになってしまっています。
そのうえ「防衛機制」が働いて、「まあ、別に」というマインドが起こってしまうから、不定期的に「頑張ろう」と思う日が生じたとしても、解決になりません。
なので、なぜ「時間が守れないって、まずいよな」と思う時もあるのかを、よく考えてみましょう。それは、自分にとって大きなリスクがあるから、大きな損失があるから、に他なりません。
そして、それはその通りなんです。
「時間が守れない」を解決した方がいい理由は何か、というところから解説したいと思います。
「時間が守れない」人が損なっているもの
これを読みにきてくれたあなたは、過去を遡ると、こんなことを考えたことがあるのではないでしょうか?
「ギリギリで学校のチャイムが鳴り、朝礼が始まったところで教室に駆け込むこと、あるよね。ルール的にはアウトかもしれないけど、それで誰かに迷惑をかけているとは思えないよ」
「10分前行動?だったら、集合時間を10分前に設定しておけばいいのに」
「何時までに来ていたかよりも、仕事の中身の方が重要じゃないの?」
その気持ち、私はわかります。特に2番目。「集合時間の10分前には集まっておく」という、言葉の矛盾を感じますし。
ネーミングの工夫もできるかもしれないですよね。
例えば、「集合時間」ではなくて「作業開始時間」というネーミングにするとか。「集合時間」を10分前に設定し、その10分後を「作業開始時間」とした方が、納得感がありませんか?
つまり、これを書いている私も「暗黙のルール」とか「常識的に考えて」みたいな、明文化されていない「枠」に抵触してしまって、嫌がられたり、評価を下げたりしてしまうタイプです。明らかに。
ところが、知っておくべきことがあります。
時間を守っていないと、しっかり「他人に迷惑がかかっている」ということを。
時間を守らない人は、他の人の「予定」や「計画」を乱します。
「9時に集まった全員に説明」のつもりが「一部の人に個別に説明」しないといけなくなったり。
家族の待つ家に帰る時間だって、予定を伝えていたなら同じことです。こんな例も考えられます。
子どもは「6時にお父さんが帰ってくるから一緒に遊ぼう」というつもり。妻は「今日は夫が6時に帰ってきて子どもと遊んでくれるらしいから、その間に何個かの家事ができそう」というつもり。
なのに、夫の帰りが予定より遅れると?
「お父さん本当に帰ってくるの?」「きっと大丈夫。ちゃんと帰ってきて遊んでくれるよ」という「不安になる我が子をなだめる」というタスクと時間が生じたり。
それに加えて妻は「夫が遅くなったぶんいくつかの家事はできないな。優先順位を考えなきゃ」といった計画再考を求められたり。
遅れた人は「たった5分」「たった10分」と感じるかもしれません。
しかし、その遅れのせいで、子どもや配偶者には不安や不満といった感情コストが生じるし、「なだめる」というタスクが追加されたし、プランの練り直しが主じているんです。
「ほんの短い時間だし、迷惑はかけていない」という認識は、かなり現実から目を背けた認識だと言えますよね。でも、私も含めて、本当にこの認識に陥りやすいんです。
というわけで「時間が守れない」ということが、他者からの評価や今後の期待に響かないわけがありません。
そして、「他人にかけた迷惑」は、きっちり「損失」として返ってきます。例を挙げると次の通りです。
- 待たされた相手の「不安、戸惑い、焦り、怒り」といった感情に対応する必要が生じる。
- 「謝ること」はもちろん、「計画を再考すること」といったタスクの追加が生じる。
- 相手からの信頼を失い、人間関係が悪化する。評価も下がる。
- 仕事では「期待できない人」と思われ、人事評価や給料に影響する。
- 職場では仕事を振られなくなり、役割が取り除かれ、機会喪失が生じる。
- 家庭でも役割を期待されなくなるか、自分なりに自由にやることに制限がかかる。名誉挽回の機会も与えられなくなる。
- 自己イメージが悪化し、自信が低下する。そのネガティブイメージが固着していく。
成功も幸せも、そのチャンスすら失っていくという、多大な損失があるのです。
損失が「重すぎる」と感じますか?
それは理解できます。そもそも「そこまで迷惑をかけていない」と考えていたのであれば、「バランスを欠いた損失だ」と感じるでしょう。
しかし、この「損失」ことが現実。むしろ、「時間を守らないということは、それだけの迷惑をかけ、人に損害をもたらす行為なのだ」と理解するべきでしょう。受ける「損失」こそが、合理的なのです。
「時間が守れない」の解決方法
「時間が守れない」を解決するためには、「気合い」が必要です。
それがないと、「やり方」「仕組み」の改善も継続しないからです。
それでは「気合い」を入れる方法を解説します。
それはズバリ「時間を守る理由」「守りたい理由」を持つことです。
「パートナーの信頼を得たい」「子どもに安心してほしい」「仕事のチャンスをものにして成功したい」「楽しい時間をともにできる仲間がほしい」。
自分の幸せに直結するような希望を持ち、それを「理由」として持ち続けることで、継続のモチベーションとしていく。これが「理由を持つ」ということです。
なんにせよ、習慣を変えるには「理由を持つ」ことが必要です。
私が喫煙をやめた時のことを例に挙げます。
私は結婚した後も、子どもが生まれた時も、当時は喫煙者でした。
一般的に、喫煙をやめる理由はたくさんあります。将来にわたる健康の維持とか、出費の無駄をなくして家計を良くするといったことなどです。これらは理由になりそうですが、私が喫煙をやめる理由にはなりませんでした。
私が喫煙をやめた理由は「子どもに嫌がられたくない」という個人的で自己中心的な理由でした。
これがもし「子どもの健康を害したくない」とか「もっと家族にとって有意義なことにお金を使いたい」といった、家族の方を向いた理由だったら、もっと良かったかもしれません。
しかし、結果的に喫煙習慣はなくなりました。お金も時間も、より有意義なことに使えていることは確かです。それが、美しい理由ではなくても。
結果につながることが大事です。
まとめ
今回は「時間が守れない」を解決する方法について解説しました。
「時間が守れない」ことは解決できるけど、習慣化したものを変えるには「気合い」が必要です。
そのためには、まず「損失」を直視すること。それは以下の通り。
- 待たされた相手の「不安、戸惑い、焦り、怒り」といった感情に対応する必要が生じる。
- 「謝ること」はもちろん、「計画を再考すること」といったタスクの追加が生じる。
- 相手からの信頼を失い、人間関係が悪化する。評価も下がる。
- 仕事では「期待できない人」と思われ、人事評価や給料に影響する。
- 職場では仕事を振られなくなり、役割が取り除かれ、機会喪失が生じる。
- 家庭でも役割を期待されなくなるか、自分なりに自由にやることに制限がかかる。名誉挽回の機会も与えられなくなる。
- 自己イメージが悪化し、自信が低下する。そのネガティブイメージが固着していく。
その上で、「気合い」を入れる方法は「時間を守る理由」「守りたい理由」を持つこと。
例え、個人的で自己中心的な理由だとしても、結果が出ればものごとは良くなっていきます。
結果を出すことが大事です。
ものごとは良くなります。今からでも変えていくことができます。
まず自分を変える。そうすると、周りの人との関係も変わっていき、色々なチャンスにも恵まれるようになります。
これを読んでくださったことも、問題を認識してはじめた確かな行動なのです。
今よりも半歩でも進めるなら、景色は少しずつ変わっていきますので、成長目指して一緒に頑張っていきましょう。
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